段付きドリルの再研磨

前回までの話

再研磨を繰り返すと、ドリル自体がどんどん短くなって、
①バックテーパの関係で外径がちっちゃくなる
②全長が短くなりすぎる

で、結果、工具として使えなくなっちゃうって話でした。

今回は、上の2点以外の、段付きドリルならではの「寿命」について勉強したいと思います!

段付きドリルの寿命

段付きドリルの再研磨って、一般的には外径は何もせず、摩耗が激しい正面の切れ刃と段部の切れ刃を研磨するねんて。

ステップ長をキープするために、段部の切れ刃を後ろに下げていくから、

再研磨を繰り返すと再研磨をした分だけ、小さい径のマージンが短くなってしまうねんて。えらいこっちゃ。

…って言っておきながらなんやけど。「小さい径のマージン」って何やっけ?

小さい径の部分はここやんね。

で、再研磨するとその部分のマージンが短くなる、とな。

                  こんな感じやね。

…ほんで、マージンって何やっけ?

聞いてくるわ。

マージンとは

ドリルの一番外側を縁取りしてる部分。
先端部では「穴の直径」を決定。外周部ではドリルの直進性を保つためのガイドの役割。

 

マージンってめっちゃ大事なとこやん。再研磨してマージンが短くなったら。。。

ガイドの役割がなくなるってことやん?
ドリルが安定せんくって、直進もなにも、ぶれぶれやん。
ツアーガイド不在の海外旅行みたいなもんやで。

穴あけ加工でドリルが振れるのは致命的。穴の精度が保てません。そうなった時に、段付きドリルは寿命を迎えます。

「これ以上再研磨すると、マージンが短くなりすぎてドリルとして使えなくなる」っていう理由で再研磨依頼をお断りすることも…
段付きドリルあるあるです。

でも何度もメンテナンス(再研磨)してもらって、役目を全うして寿命を迎えられる工具は幸せやと思う~。
使ってる人からは「長い間ありがとう」って感謝されるし、ecoで地球に優しいし。

再研磨とSDGs

そうそう、再研磨って、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」に直結してない?特に、目標12の中の、具体的な目標として示されている「ターゲット」の、12.5。

ターゲット12.5「2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。」

なんて、まさに!って感じ。

超硬工具の材料である「超硬合金」にはレアメタルのタングステンが使われてます。
再研磨イコール再利用。希少な資源であるタングステンを節約!廃棄物の発生を防止!

めっちゃいい!
働きながらSDGsに貢献。なんか嬉しいや~ん。