エンドミルとは

工具屋さんのいろはの記事を書き始めた頃に、ちらっと紹介した「めんつゆ」工具。
(「めんつゆ」に匹敵するくらい万能な工具、の意味)
記事はこちら。
切削工具について勉強してみました

詳しくはおいおい勉強するって言ってたその工具。いよいよ勉強する日が来ました。
その工具の名は「エンドミル」!
エンド(end)は端、ミル(mill)は粉砕。端面にも刃を持った切削工具ということでエンドミル。なんやって。

パッと見、普通のドリルと似てるなぁ~

4枚刃面取付エンドミル

って思ってたら、動き方が違うみたい。

ドリルは軸方向の移動だけで穴をあける工具。
軸方向っていうのは「部材の長さに平行な方向」で、縦だと上下方向、横だと左右。この2パターン。

で、円形の穴をあけるってのがドリルのお仕事。ふむふむ。

それに対してエンドミルは、ドリルみたいな穴あけ加工には適さないものの、
先端部と両側に刃があるので、水平、垂直、曲面と3次元方向に移動させて
多様な形状に切削することができるねんて!
すごくない?

エンドミルのお仕事

メインのお仕事は、側面の刃を活かした「溝加工」や「側面加工」、穴を削り広げる「ポケット加工」など。

他にも、リブ加工、テーパ加工、倣い加工、座グリ加工、コンタリング加工など、ドリルではできない加工や、
できなくはないけど適さない加工を一手に引き受けてくれてます!

文字で見るよりやっぱ絵で見た方が分かりやすいね。ということで、うちの会社のカタログを引用します。

こう見ると、ほんま何でもできるやん。さすがめんつゆ工具や。

エンドミルの種類

エンドミルって、底刃の形状だけでも数種類あるねんて。
例えば、
エンドミルの代表みたいな「スクエアエンドミル」は先端部の刃がほぼ平ら。
「ボールエンドミル」はその名の通り、先端がボールみたいな球面。
「ラジアスエンドミル」は先端部の刃のコーナー部分に丸みあり。など

さらには太さや全長、シャンク形状はもちろん、刃の数やネジレ角の角度の違いとかで、とにかくめっちゃ種類多いねんて。

ほんで刃の数は偶数が多いみたい。
偶数やと向かい合わせに刃があるから外径を測定しやすい。
でも奇数やと対向する位置に刃がないから測るのに専用の測定器がいるみたい。
だがしかし、向かい合わせに刃がないことで、切削加工中に発生する振動(いわゆるビビリ)を抑制できるっていうメリットもあるねんて。

エンドミルは「側面加工」をウリにしてるから、剛性が高い(変形しにくい)ことが特に重要らしく。
というのも、側面加工は横からの抵抗が大きくって倒れやすい…

だから剛性を高めるために、切りくずが出ていくためのスペースを小さくして、芯を太くしてるんやって。

詳しく説明するとね、

エンドミルは刃数が多いほど芯が太くなって曲がりにくくなるらしい。
でも刃と刃の間が小さくなって、切りくずが排出しにくくなる。

逆に刃数が少ないと、芯が細くなって弱くなるから曲がりやすくなる。
でも刃と刃の間は大きくなるから切りくずは排出しやすくなる。

またしても一長一短!

だから、精度重視の仕上げ加工では刃数が多いエンドミル、切りくずがいっぱい出る粗加工やったら刃数の少ないエンドミルとか、目的に合わせて選ぶことが大事やね。

ちなみに…
入社したての頃、営業さんに「エンドミルってなんですか?」って聞いた時に、
「横走り工具のことやねん」って教えてもらって。
その時から私の中ではエンドミルはこんな↓イメージです。