切削工具のコーティングとは
この前のDLCコーティング(ダイヤモンドを使わずにダイヤモンド工具みたいになれちゃうコーティング)がすごかったんで、コーティングについてちょこっと調べてみることにしました~
切削工具のコーティングとは
母材となる工具の表面を薄い膜で覆う表面処理技術の一つ。母材の性質を補うことが目的。
耐摩耗性UP、耐熱性UP、硬度UP、耐溶着性UPなどの効果がある。
ソリッドツールでは、超硬工具を製造しているので、母材は超硬合金。
超硬って、漢字が表しているように「超」「硬い」ねん。
タングステンと炭素とコバルトで作った人工金属。
入社当時、超硬ってなんやろって思って調べたことがあるから、
詳しくはこちらを見てみてください 超硬とは何ぞや
その超硬の性質にプラスするのがコーティング。
膜の材質は工具の母材(うちの製品では超硬合金)より硬いもの。(超硬よりさらに硬いなんて!)
膜の厚さは、コーティングの種類によって違ってくるけど、一般的には0.5~20μ程度。
1種類の膜を被覆した「単層」と2種類以上の膜を被覆した「多層」があるみたいで、最近のコーティング工具はほとんどが「多層」やねんて。
多層って、違う特性を持つコーティングを重ねてるから、仮に上の層が欠けたとしても、その次の層が性能を発揮することができるらしい。
コーティングの効果・メリット
実際、コーティングしたらどんな効果が得られるん?代表的な効果はこちら。
・耐摩耗性UP
→ コーティング膜に守られて、摩耗が防げる。工具の持ちが良くなる。
工具コスト削減できるやーん。
・耐熱性UP
→ 高温に強いコーティングを施すと高速加工が可能に。加工時間が短縮。
生産性上がるやーん。
・硬度UP
→ コーティングで硬さが増強されるから、難削材にも対応できる。
硬いワークでもサクサク削れるやーん。
・耐溶着性UP
→ コーティングで滑りを良くして切削抵抗を減らす。切り粉の排出性が上がって溶着を防止することができる。
構成刃先が抑制できるやーん。
ええことしかないやん。(いや、実はそんなこともないねん。デメリットもあるで。後述するわ)
コーティングの種類
コーティングってめっちゃいっぱい種類があるけど、かあちゃんも聞いたことがある有名どころのコーティングをご紹介。
・TiC(炭化チタン)
母材との密着性に優れてて、機械的摩耗に強い。
でも切削熱に弱いので高速切削には適さない。
・TiN(窒化チタン)
鋼材との親和性が小さいので、構成刃先を抑えることができる。
比較的安いので人気。
・TiCN(炭窒化チタン)
母材や他のコーティング層との密着強度が高い。
TiCに似てて、機械的摩耗に強いけど切削熱に弱い。
・TiAIN(窒化チタンアルミニウム)
科学的に安定していて、熱の溜まりやすい被削材に適している。
・DLC(ダイヤモンドライクカーボン)
硬さと潤滑性を兼ね備え、アルミニウムの切削に特に有効。
・CrN(窒化クロム)
耐腐食性と耐熱性に優れている。
銅に対する耐摩擦性が高く、銅の切削加工で効果を発揮。
ふむふむ。それぞれに特徴があるねんね。
何を削るかっていうのが最大のポイントって感じ。
コーティングのデメリット
コーティングってメリットしかないの?
いやいや、そんなことはありません。注意せなあかんこともありまして。
・膜厚分だけ外径が大きくなる
ミクロン台の膜やけど、その膜に覆われるねんからその分大きくなることは避けられない。
外径公差が厳しい工具の場合は、膜厚分の外径増加を考えておかにゃなりません。
ソリッドツールでも、厚い膜のコーティングを施す場合、
製造時点で「コーティング前の公差」を設定してます。
ちょっとちっちゃめに作っておいて、
コーティングしてちょうどいい大きさになるようにね。
・最適なコーティングが異なる
工具とコーティングにも「合う」「合わん」があります。
良かれと思ってコーティングしたら、切り粉に厚みが出てワークにキズが付いちゃった…なんてこともあるようで。
コーティングがすべてプラスに働くかというとそうではなく、プラマイゼロ(やってもやらんでも同じ)、もしくはマイナス(やらん方が良かった)になることもあるので要注意です~
被削材(何を削るか)はもちろん、工具の種類(ドリルなのかリーマなのか、はたまたエンドミルなのか等)によっても最適なコーティングは異なるので、一番効果的な種類を選定するために知識と経験が必要です。
なんでも勉強ですね。
まとめ
コーティングは工具そのものの性質を補うもの。
種類もたくさんあるので、それぞれの特性を熟知し使い分ける必要がある。
適切なコーティングを被覆すれば工具寿命と生産性を向上させることができる!
おまけ
身近なコーティングで思い浮かぶのはチョコバナナですね。屋台の味です。
融解させたチョコレートをバナナに被覆させる、あのチョコバナナです。
チョコレートを融解させる際、油を少し投入すると、
チョコレートの粘度が下がり均一にコーティングしやすくなります。
また、油によって光沢が増し、高級感が付与されます。
多層が良ければ、2種類以上のチョコレートが必要になります。
(ホワイトチョコもしくはストロベリーチョコがよろしいかと存じます。
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部分的な多層であればチョコスプレーもしくはチョコペンで対応可能です。
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バナナに刺突する棒は竹串などの丸いものより、割り箸など四角いものを推奨します。
(バナナが回転するのを抑制するためです)
チョコとバナナ。おいしくないわけがない!キリリと冷やしていただきましょう!
あ、そうそう、ソリッドツールのカタログ、無料でダウンロードできるねん。
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