ドリルのホーニング加工とは

かあちゃん、普段、受発注業務をメインでやってます。お客様からいただいたご注文の工具を製造するために、
超硬素材を発注したり、その素材をもって製造部に製造を依頼したり… 
その時に工具図面もよく見るんやけど、図面にはまだまだ謎のワードがいっぱいあって。

今日はその中の一つ「ホーニング」について勉強したいと思います!

ホーニングとは何ぞや?

手始めにネットで”ホーニング”って検索してみたら…
「円筒形状の機械部分の内面を高精度に研磨すること」って。

ん?円筒形状の内面??なんか思ってたんとちゃう… いやでも「ホーニング加工」って一般的にはこの内面研磨のことを言うみたい。

そうは言っても、かあちゃんが調べたいのは「ドリルのホーニング加工」
頼るべきは超硬工具用語集。それによると「(刃先に)小さな面取りを施すこと」とな。

一体何のために?大根の面取りやったら煮崩れ防止やけど?

調べてみたら、チッピングを防ぐために刃先の強度を上げるのが目的らしい。
チッピングっていうのは刃先のものすごい細かいカケのこと。

Chip=かける

細かいカケやけど、そこから亀裂が入って大きなカケ(欠損)になったり、細かな凸凹がワークに引っかかって加工の精度を低下させたり… ほっとくとえらい目にあいます。

刃先がチップしないように守ってあげなくっちゃ。刃先の強度を保持しなくっちゃ。 そこでホーニング!

ホーニングは切れ刃に「小さな面取り」を施す加工で、別名「刃殺し」っていうそうな。
なんとも恐ろしいネーミング!
いかにも切れそうな鋭い刃先をあえてカクっとさせて、刃先の強度を上げてあげようという加工。

こちらがホーニング「加工前」と「加工後」の写真。

鉛筆をピンピンに削りすぎると書き始めに先っちょがポロっと折れちゃうけど、先が丸まってる鉛筆はある程度力入れて書いても折れへんのと一緒で、
先が鋭ければ鋭いほど抵抗も少なくて切れ味が良くなる。けど折れやすい。
ホーニングしたら刃先は強くなる。けど切削抵抗が増して切れ味が低下する。

ってことやね。またしても一長一短。

切れ刃の強度を確保しつつ、ベストなホーニング幅にとどめるのがめっちゃ重要みたい。

うちの会社はオーダーメイドでドリルを作ってるから
「加工ワークの材質に合わせて理想的なホーニング幅を設定」してるねんて。
例えば柔らかいアルミを削る工具にはホーニング幅を狭くして、
硬い鉄とかを削る工具には幅を広くしてるみたい。

しかも、ホーニングの面粗度(「めんそど」と読む。簡単に言うと面のキレイさ)によって工具の性能が左右されるらしい。
「刃物の生命線」とも言われているそうな。職人さんの腕の見せどころやで。

ちなみにホーニングは英語のhoneのing形。Honeとは「刃物などを砥石(といし)で研ぐ」の意味。
物を研いで切れ味を増すイメージから比喩的に「(人の技能や能力などに)磨きをかける」の意味でも使われるみたい。

工具のホーニングも大事やけど、自分をホーニングすることも大事やね。

まずは煮崩れしない大根を作れるように、料理の勉強始めるわ! 主婦歴〇〇年。今更やけど。