番外編:ドリルの歴史
今回は番外編です!
何気にいろんなものを削っている私たち。鉛筆だったり、木だったり、食費だったり(←違います)もとい、金属だったり。
この「削る」という行動、一体いつ、どこで、どのように始まったんでしょう?
ちょっと気になったので「削る」ことの歴史について調べてみることにしました!
まずは人がどのようにして道具を使うようになったのか、ざっくり見てみましょう!
人類が最初に使った道具「石」
最初は石を別の石でたたいて、割れた破片の鋭さをそのまま道具として利用してたようですね。
この頃は偶然できた形を使うという段階で、形を整えるという発想はまだなかったみたい。
でもそのうち気づくんです。
「ぶつけて壊す」よりも「少しずつ形を整える」ほうが自分の思い通りの形に近付けることができるんちゃう?と。
そこで、硬い石を当てて、細かく欠けさせて形を調整するように。
先を尖らせたり、左右対称にしたり、持ちやすくしたり。
こんな風に、石を打って、欠けさせて形を作る技法を「打製」って言って、
そうやって作られた「打製石器」は、
主に肉を切ったり、木を削ったり、ナイフみたいな役割をしてたらしい。
「壊す」から「形をつくる」へ。“削る”に一歩近づいた感じ。
打製石器から磨製石器へ
そうこうしているうちに、石同士を当てて形を作る「打製」に限界を感じた人々。
砂をかけながらこすり合わせたり、水と一緒に泥状にしてこすったりしていると、
砂の硬さで石が削れることを発見したようです。
(現代の研磨剤と同じ発想)
そうやって叩くだけじゃなく、
磨いて角度を整える技法も身に付けます。
別の石や砂で擦って削り、表面を滑らかに仕上げる技法を「磨製」といい、
石器の強度と刃の鋭さを高めることに成功。
この頃には「砥石」として最適な石も発見されていて、
粗削り → 中仕上げ → 仕上げ という段階研磨まで行われてたって!すごくない!?
この磨製石器の「刃を磨いて角度を整える」技術は、刃角、切れ味、表面の粗さなんかの「切削加工の基本理念」に通じるもので、いわゆる「切削工具の基礎そのもの」を、石器時代の人々はすでに獲得してたってことが分かるらしい!その時代の人々の知恵ってすごいよね~
では次にドリルの進化を見てみようと思います!
ドリルの進化
磨製石器の時代に削る技術、つまり自分の思い通りの形を作る技術を習得したので
「細い棒状の工具」(錐のような穴あけ道具)が作れるようになりました。
で、火起こし器がヒントになって
「回転させて穴をあける技術」が確立したようです。
これが穴あけ工具の元になります!
よっ、元祖穴あけ工具!
そのうち、農耕する社会になると、金属材料が発見され、加工されるようになります。
金属刃物が発達すると、その刃物の形状を整えるための、
いわゆる”道具を作る道具“が必要になってきました。
この頃から、”削る”が単なる作業じゃなく、モノづくりの中心的な技術に発展していきます。
この時代から、効率よく削れる形が求められるようになって、先端の形状が工夫されたり、切りくずの排出用の溝が作られたり、軸を太くしたり、とドリルの原型が誕生していきます。
(切りくずの排出については「ドリルのねじれ。右ネジレ、左ネジレとは」で説明しています)
18世紀以降の産業革命でボール盤が誕生。
工作機械とドリルが一体となって発達していく時代です。
機械で金属に穴をあけるために、切りくずの排出性や切れ味の安定性などがさらに研究されるようになって、
現代のドリルの基本形であるツイストドリルが生まれました~
ボール盤の普及で「機械加工といえばドリル!」みたいな、ドリルが標準工具になった時代が始まります。
そして材料にも変化が…
1900年初めに高硬度鉛(HSS)が発明されて、その30年後の1930年頃にはわれらが「超硬合金」が登場!
1950年頃に油穴付きドリルが開発されて、
高速回転での加工が可能になったり、(オイルホールについてはこちら:オイルホール(OH)とは)
コーティングが普及して摩耗が大幅に減って寿命がのびたり…
(コーティングについてはこちら:切削工具のコーティングとは)
さらに刃形が最適化されて「ステンレス用」「アルミ用」「高硬度鋼用」みたいに、
目的別のドリルになったり…
どんどんどんどん進化してきました
現代では目的別に加えて、加工内容別の”超・専用化”が進んでいるとか。
今もなお進化中なんやね~
こうしてみると、磨製石器の時代から始まった「削る」って技術は、
人類の「形を作りたい!」っていう思いから時代とともにどんどん進化してきてんね。
人々の知恵の結晶や!なんとも素晴らしい
古代の石器職人が、現代のドリルやエンドミルを見たら驚くやろうなぁ~
これから先、切削工具はどんな進化を遂げるんやろ?
びっくりするドリルができたりして。そんなことを考えるのも楽しいね!
