社内で飛び交う単語シリーズ 「オール超硬」「ロウ付仕様」

うちの会社ではお客さんの要望に合わせて、色々なタイプの工具を作っています。
いわゆるオーダーメイドです。

お客さんとのこんな会話から始まります。

お客さん「この穴あけるための工具欲しいねんけど」

と、ひらりとワーク図(設計図)を差し出す
ワーク図を受取り、しばし思案するうちの営業社員 

営業「なるほど。この穴やったら、〇〇ドリルですね」

うちの営業さんは、お客さんからのワーク図(穴の設計図)を見て、「この穴やったらこんなドリルやな」ってイメージして、CADで図面を描いて、お客さんに提案します。

営業さんの頭の中には、色んな工具の情報がてんこ盛りで、
それぞれの工具のメリットとデメリットを考えて、
最適な工具を選んで提案しています。

形で言うとねじれてるドリル、ねじれてないドリル、段がいっぱいのドリル、横走りのドリル…

材質で言うと全体が一体型のもの、刃の部分だけ超硬を使ったもの、刃の部分を交換できるもの等…
まさにこれが今回のテーマ、「オール超硬」「ロウ付仕様」、からの「先ムク」「板チップ」!

「これやったらオール超硬がいいんちゃうかな」とか、
「径が大きいから板チップのロウ付けで提案しよかな」とか、
お客さんの希望に沿う、一番いい工具を提案します。

まずはオール超硬。

全体(シャンクからボディまで)が一体型のもの。うちの会社は超硬合金を使っているので「全部が超硬合金」→「ぜんぶ超硬」→「オール超硬」。
別名、ムクドリルもしくはソリッドドリルとも言う。

ムクドリルの「ムク」は「無垢」で、“混じりもののない、素材そのもの”の意味。
ソリッドドリルのソリッド(SOLID)には『個体』とか『堅い』の他に『中まで同じ物質の』という意味がある。
どっちもただただ、「全部同じ」を言い換えただけのもの。うむ。

オール超硬のメリットは何といっても「加工の精度が高い」こと!
一体型ゆえに、微妙なズレが起こりにくい!いいぞ!オール超硬!

だがしかし!超硬の主成分はタングステン、レアメタル。なんせ値段が高い。
しかもここ最近、値段がぐんぐん上がっている。

パンもジャムもマヨネーズも軒並み値段が上がってるのに、超硬まで…

工具を全部超硬にしたら、めっちゃ高なるやん。。。
大きい工具になったら、えらいことやん。
しかも超硬ってめっちゃ重いやん。(鉄の2倍の重さらしいねん)

ってことで、高級かつ重たい素材は刃の部分だけにする「ロウ付仕様」があります。

「ロウ付け」とは?
「ロウ付仕様」については次回お伝えすることにして、今回はこれにて。ドロン。