不等分割・不等リードとは

「リーマとバニシングリーマの違い」で、ちょこっと取り上げた「不等分割」
なんだか奥が深そうなので、今回は「不等分割」について掘り下げてみようと思います。
「リーマとバニシングリーマの違い」はこちら → リーマとバニシングリーマの違い

で、早速「不等分割」を調べてみると、
『不等分割・不等リード』みたいに、かなりの確率で「不等リード」という単語と一緒に出てくることが判明。

この二つ、なんだかペアっぽいので、今回一緒に取り上げることにしました!

不等分割・不等リードとは

不等分割は刃と刃の分割角度をずらして、刃が被削材に当たる周期をずらしたもの。
不等リードは隣り合う刃のねじれ角をずらして、こちらも刃が被削材に当たる周期をずらしたもの。
意図的に角度をずらすことで加工時のビビリ(振動)を抑制する効果がある。

なかなか奥が深そう… 順番に確認していきましょう~

まずは不等分割から。

不等分割とは

刃と刃の分割角度が等分でない仕様のこと。わざと角度を「不等」にしてます。

え、わざわざずらすの、なんでなん?
仲良く等分割にして、キレイな間隔にした方が加工が安定しそうじゃない?
って思っちゃうよね。でも…

例えば、等分割だと、同じところに刃が当たるから、
大げさにいうと「丸みを帯びた六角形」みたいに仕上がってしまうねん。

さらに、同じところに刃が当たることから、ビビリ(振動)も大きくなってしまうらしい。

でも、不等分割にすると、刃が同じところに当たらずに多角形になるから、
より円に近づけることができるねんて。

刃が同じところに当たらんから、ビビリ(振動)も抑えられる!

では分割角度とビビリの関係を詳しく見ていきましょう~
例えば6枚刃の場合、等分にしようと思うと360°÷6=60°
キレイに分けることができました。ケーキだったとしてもケンカにはなりません。

でもこれだと、リズムが一定で、周期的に刃が当たるから、「ビビリ」って呼ばれる振動が起こりやすいねんて。
音符で表すとこんな感じ。

みたいな。この「タン」の部分で6枚の刃が同時に被削材に当たってるねん。

今度は角度をずらした「不等分割」の場合。ケーキだったらケンカになるバージョン。
あ、でも偶数刃の場合、刃にかかる負担を減らすために、対角刃は同じ角度にするんだって。
こんな感じ。音符で表してみるとこんな感じ。

この場合、①②③それぞれの「タン」で2枚ずつ被削材にあたってるねん。
分割角度をずらして、6枚の刃が同時に当たらんように(2枚ずつ当たるように)設計されているねんね。

でもなんでリズムをずらすと振動を抑えることができるん?
それはね、ビビリ振動は「再生効果」と呼ばれる現象が主な原因だから。

再生効果って?

再生効果とは

再生効果はこんな感じで発生します

1 最初の刃が加工した時、表面に微小な波状の凹凸(加工痕)が残る
2 次の刃がその凹凸の上を削るため、切取り厚さが変動する
3 この変動が切削時の振動と重なって増幅される

→ その結果、「びびり音」や「仕上げ面の精度低下」につながる

等分割だと6枚刃すべての刃が同じタイミングで被削材と当たるから、振動が増幅しちゃう。
だから、それを避けるために不等分割にして、刃と被削材が当たる周期をずらしてるんやね。

不等分割、ええやーん。

不等リードとは

不等リードの前に… そもそもリードって何?
リードっていうのは工具が1回転した時の、初めの位置と終わりの位置の距離のこと。
ドリルで見てみるとこんな感じ↓

このぐるっと回る時の角度がリード角



不等リードっていうのは、その角度を隣同士で変えること。
あえてネジレの角度を変えることで、こちらも被削材と刃が当たる周期をずらし、切削抵抗を分散させてビビリ(振動)を抑えてるねんて。

さらにもう一つ。
ねじれ角が一定じゃないから、切り粉の出ていく溝も一定の向きじゃないねん。
切り粉の排出方向が変わるから、切削時の抵抗を分散させることができるねんて。

プラス、切り粉が違う方向に向かっていくから、切り粉詰まりも防止することができるって。
ほほぅ。少しの角度の違いが大きな効果を生むねんね~

まとめ

不等分割は、隣り合う刃の角度間隔を変える設計で、切削時に発生する「再生効果によるビビリ振動」を抑制する。
不等リードは、刃のねじれ角を隣の刃と変える設計で、切削のタイミングをずらし、振動が集中するのを避ける。

どちらもビビリ振動の抑制が主な目的だけど、併用することで効果が上がる!
加工が安定するから加工精度がアップ!工具への負担も抑えて工具寿命も延びる!

いいことばっかり~
今やエンドミルでは「不等分割不等リード」が標準になってるねんて。
だから「不等分割」って調べると、ほぼほぼもれなく「不動リード」が付いてくるのね~

ちなみに…
不等分割・不等リードって、エンドミルで説明されることが多くて。

なんでかなーって思ったら、不等分割・不等リードを持つ工具はドリルとエンドミルだけらしいねん。
で、ドリルの不等分割・不等リードって、かなりレアで、
一部の特殊モデルに限られてんねんて。でもエンドミルは今や不等分割・不等リード仕様が主流。

リーマは、不等分割リーマはあるけど、不等リードリーマはない。
リーマって、仕上げ加工用やから、そもそもちょこっとしか削らんからビビリが少ない。
不等リードにするメリットがないねんて。

そんなこんなで、不等分割・不等リードについて話をするときはエンドミルがうってつけ。

ということで、かあちゃんもご多分に漏れずエンドミルで説明させてもらいましたよ!
ありがとう、エンドミル!

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