その違い何なのシリーズ第2弾「リーマとバニシングリーマの違い」
無事にやってきました「その違い何なの?」シリーズ、第2弾。
今回は「リーマとバニシングリーマの違い」について探っていきたいと思います。
(何弾までできるかな… 比較するネタ、見つけられるかな…)
リーマとバニシングリーマの違い
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リーマとバニシングリーマ、二つとも穴の精度を高めるための仕上げ工具です。
先端に刃がないから、それ自体で穴をあけることはできません。
先にドリルとかで穴をあけて、その穴の内面を高精度に仕上げていく工具になります。
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「複数の切れ刃で内面を削って高精度に仕上げる」のがリーマで、
「マージンと言われる部分で穴の内面をこすって精度を上げる」のがバニシングリーマです。
では早速、この2つについて
・大きな違いは何なん?
・精度に違いはあるん?
・どう使い分けるん?
について調べてみましょう~
加工方法が違う
リーマとバニシングリーマ、一番の大きな違いは加工方法。
両方とも、穴の内側の精度を高めるための工具なんだけど、リーマは「切削加工」、
つまり表面を削って滑らかにする工具で、
それに対してバニシングリーマは、表面をこすって「塑性変形させて」滑らかにする工具。
内面の精度を上げるために、削る?それとも擦る?ってところが大きな違い。
■リーマ
あいてる穴より、少しだけ大きな外径のリーマを使って、穴の内側を削っていきます。
リーマは多枚刃が多くて6枚刃が主流。
複数の刃で切削して要求された寸法にしつつ、加工面の精度を向上させます。
ここで言う「精度」は、穴径だけじゃなく、面粗度のことも含まれてます。
Ra1.6はお手のもので、6枚刃リーマになればRa0.8レベルの高精度も可能なんだって~
■バニシングリーマ
前回勉強したバニシングドリルと同じく、マージンと呼ばれる“切れない刃”のような部分で穴の内側の凹凸を押し広げて滑らかにしてます。
リーマとは違い、バニシングリーマは基本2枚刃です。
多枚刃じゃないけど、マージンは4つあるから
4カ所で頑張って押し広げています。
バニシングドリルとは違って、バニシングリーマには先端に刃がないから
「何もない状態から、穴をあけつつ擦る」はできないのよねぇ。
あけられた穴の内面を、少しだけ削って、めっちゃこすって精度を上げていく感じ。
穴精度も違う
両方とも仕上げ工具って話やけど、実際のところ、仕上がった穴の精度に違いはあるんかな?
ありまんねん、コレが。結構な差がありまんねん。
結論から言うと、仕上がり精度はリーマがダントツで一番です。
■リーマ
元々刃数が多い設計やから、それだけでも精度は高いのよね。
それに加えて、刃の配置を不均等にする「不等分割」っていうワザ(?)を使うと、
真円度がめっちゃ上がるねんて。(真円度:どれだけ正確な円に近いかを示す幾何公差の一つ)
ここで不等分割について。6枚刃で説明してみましょう。
円って360°やから、刃の数の6で等分すると60°。
60°で等分した工具でワークを削ると同じところに刃が当たるイメージで、
大げさにいうと丸みを帯びた六角形のように仕上がってしまう。
そこで、360°をあえて不等に分割する。例えば、55°、60°、65°みたいな。
そうすると、同じところに刃が当たらないので六角形にはならず、
多角になってより円に近づけることができる。
この不等分割ができるのは、多枚刃仕様のみ!
穴径、面粗度、真円度、すべての要求をクリアすることができるすごい工具です。
■バニシングリーマ
基本2枚刃やから、不等分割はできません…
こすって面粗度を上げていくけど、面粗度もリーマには適いません…
下穴(あらかじめあいてる穴)がないと使えないし。(それはリーマも一緒やけど)
でもバニシングリーマはバニシングリーマで「強み」もあるんやで。
それについては次の「使い分け」のところで詳しく!
リーマとバニシングリーマの使い分け
高精度で言うとリーマが圧勝なんやけど、リーマは刃の数が多いから複雑な形状にするのは難しくて。
段付リーマってのもあるねんけど、構造が複雑になるからコストが上がってしまう。
段が付いてても1段だけ、とか…
それに対してバニシングリーマは2枚刃で、構造がとてもシンプル。なので段付形状もお手のもの。
こんな感じの、2段はもちろん、こんな段々の形状まで!
この工具を使うと、複雑な形状でも1本で仕上げることができる!
(これをリーマで仕上げようとすると6本必要になるよ…)
しかも、バニシングリーマは「切れ味を重視した設計」や「耐欠損性を重視した設計」みたいに
色々とカスタムすることが出来るねんて~ すごいよね。
結果として、
高精度が最優先!の場合はリーマを、
段付き穴などを効率よく仕上げたい!ならバニシングリーマを使ってください。
バニシングリーマで全体の形状をある程度仕上げて、
特に精度が必要な部分だけをリーマで仕上げるっていう合わせ技も有効です!こんな感じ↓
まとめ
リーマもバニシングリーマも、あけられた穴の精度を高める仕上げ工具。
リーマは削って仕上げるのに対して、バニシングリーマは擦って仕上げる。
精度が高いのはリーマ、効率が良いのはバニシングリーマ。
精度最優先の場合はリーマを、
段付きの穴を効率よく仕上げたい時はバニシングリーマを選択してください。
どっちの工具が優れてるとかじゃなくて、「加工する穴の形状」や「求められている精度」、
さらには「コスト」「生産性」などの要素を総合的に判断して、
適材適所で使い分けるってことが重要になります!
奥が深いねぇ
かあちゃんも前髪だけは高精度のロッドで巻いてほしいねん。
こう見えて、前髪にはこだわりあんねん。
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