その違い何なのシリーズ第1弾「ドリルとバニシングドリルの違い」

さぁ始まりました、「その違い何なの?」シリーズ。
第1弾となる今回は「ドリルとバニシングドリルの違い」に迫ってみたいと思います。
(シリーズと言いながら、今回限りになる可能性も否めません。すべてはかあちゃんの気持ち次第です)

ドリルとバニシングドリルの違い

ドリルとバニシングドリル、二つとも穴をあけるための工具なんだけど、
「ただただ穴をあける」のか「穴をあけながら穴の内面をキレイにする」のか、ってところが大きな違いです!

では早速、

・主な用途は何なん?
・見た目でどっちがどっちか分かるん?
・どう使い分けるん?
・バニシングドリルに適した材質は?

について浅~く深堀り(どっち?)してみましょう!

ドリルの用途

まずはドリルについて。

言わずと知れた穴あけ工具。穴をあけるための工具。ただひたすら穴をあけます。
まっすぐな穴をあける必要はあるけど、穴の内側のキレイさは求められていない。
むしろ穴をあける速さの方が重視されている感じ。

バニシングドリルの用途

バニシングドリルは、穴をあけつつ、そのあけた穴の内側をキレイに仕上げることに重きを置いているドリル。

バニシングドリルのバニシングは英語のburnish(磨く)のing形で、バニシング加工っていうのは
「加工表面を塑性変形させて滑らかに仕上げる」ことなんだって。

具体的には、穴をあけるための刃(切れ刃)とは別に、
穴の内壁をこするための「マージン」と呼ばれる“切れない刃”みたいなんがあって、
穴の内側の凹凸を押し広げて滑らかにするっていう役目をしてる。

切ってこする、切ってこする、の繰り返しで、キレイな面を作り上げているみたい。
穴あけと仕上げの2つの工程を同時にこなす優れものです!

ドリルとバニシングドリルの形状の違い

見た目の違いはどうかな?
普通のドリルは穴をあけることがメインやから、
切削で出てくる切り粉をいかに早く外に排出するかが重要。
だからネジネジの溝(スパイラル形状)にして切り粉を効率よくシャンク側へ(つまり外へ)運び出す。

 


対してバニシングドリルは直溝(まっすぐな溝)が多くって。
直溝は切り粉が排出されにくいから切り粉が詰まりやすいっていう弱点がある…

 

 

 

そこで高圧のクーラント(切削油)を噴射して、切り粉を強制的に洗い流すっていう工夫をしてるねんて。
外からの給油はもちろん、工具にオイルホール(油穴)を設けて、工具内部からも給油。

給油って言うとガソリンスタンドで車にガソリンを入れるみたいな、穏やかな(?)イメージだけど、

ここでいう給油は噴射。高い圧がかかっているのでものすごい勢いです。
その勢いで切り粉を洗い流して、切り粉が詰まるのを防ぎます。

以前高圧クーラントが噴射される映像を撮影させてもらったことがあるので良かったらみてみてくださ~い
高圧クーラント噴射の様子 

ソリッドツールでもほとんどのバニシングドリルがオイルホール付きみたい。
体感で85%くらい。
「ちゃんと調べて(怒)」
ごめんなさい、調べました。実際も80%強でした。

工具の形状は、ざっくり言うと、ねじれてたら「普通のドリル」で溝がまっすぐやったら「バニシングドリル」
あ、でも例外もあります。ねじれてるバニシングドリル、あります!

← ほら、コレ!

ソリッドツールのホームページでも紹介されてる~
くわしくはこちら! ネジレ加工

 

 

ドリルもバニシングドリルも段付き形状ができる

段が付いてる穴を一度にあけることができたらすごい時短になるよね。
実はドリルだけじゃなく、バニシングドリルも段付きの形状できるねん!

つまり、段付バニシングドリルを使うと一つの工具で段々のキレイな穴があけることができる!
こんな感じ。すごいよね~

使い分け

さて、この二つ、どう使い分けようかのぅと思ったあなた。
一般的な穴あけ(高精度を求めない穴あけ)だったら普通のドリルで十分ですって。

加工面の精度を要求されたらバニシングドリルを使ってください。
具体的には表面粗さRA1.6くらいまでならバニシングドリルで対応できるみたい。
(それ以上の精度や面粗度を求められるときは、最終仕上げ用工具の「リーマ」を使ってください。
リーマについては次回勉強します!)

ただ、性能が良くなるとお値段も上がるねんなぁ。
同じ大きさのドリルとバニシングドリルやったら、1.5倍くらい高いとか…

求める性能とコストとのバランスも、選ぶ時のポイントやね。

バニシングドリルに適した材質

1本で穴あけも仕上げもできちゃうバニシングドリル。
擦るっていう働きがあるから面粗度が上がるんだけど、その分溶着しやすいのよね…
特に鉄系の材質(SCM材・SUS等)は加工の熱で溶着が起きやすいからバニシング加工には不向きなんだって。

逆にバニシングドリルがその性能を発揮しやすいのはアルミニウム!
ソリッドツールでもアルミ加工用のバニシングドリルの事例がいっぱいある。ちょっと見てって~

アルミ加工用段付きバニシングドリル
アルミ加工用バニシングドリル(仕上げ用DLCコート付き)
アルミ加工用弱ネジレバニシングドリル

まとめ

ドリルは穴をあけるための工具で、バニシングドリルは穴をあけつつ、穴の内側を滑らかに仕上げる工具。
ドリルはネジレ形状が多く、バニシングドリルは直溝が多い。両方とも段付タイプも可能。

バニシングドリルは溶着しやすいため、鉄の加工には不向き。アルミ加工に適している。

同じ穴あけでも、求められる精度によってドリルを選んだり、バニシングドリルを選んだり…
ワークの材質やコストについても考えなきゃいけません。いやほんと奥が深いなぁ。

いつかどこかで、製品に開けられた穴の内側を見たときに、
『あ、この穴のキレイさ、これってもしかしたらただのドリルじゃなくて
バニシングドリルを使ってあけられた穴かもしれないなぁ…』
なんて、その背景にある工具業界の技術に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

もはやそれは職業病という病気の可能性があり、
あまり頻繁に思いを馳せていると周りの方に心配されるかもしれませんのでお気をつけください。

あ、そうそう、ソリッドツールのカタログ、無料でダウンロードできるねん。
ただやで、ただ。よかったらポチって持ってって~

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